12/29/2015

msb! ニュース December


年末のごあいさつ》
暖冬ですね。まるで秋のような気温。それでもやっぱりクリスマスは来たし、新年の足音はもうドアの外に聞こえます。
世界は相変わらず良いこと、悪いこと沢山あって、それでもいつもの年の瀬を迎えようとしています。
日本は今年、戦後70年でとても政治的な年でした。多くの戦争体験が語られ、今もそれは続いています。そんな中で、何より画期的だったのは若者がデモを組織したことでした。(SEALDs Student Emergency Action for Liberal Democracy
デモという言葉は久しく死語とさえいってもいいほど、日本人の日常からは消えてしまったように見えましたが、若者たちだけでなく、普通の市民が自分の意見をデモという行動の形で表現するというやり方に目覚めた年と言ってもいいと思います。考えてみれば、デモが日本から消えてしまったように見えたのは、概して日本が平和だったからでしょう。デモが復活したのは人々に危機感があるからです。
さて、私たちの武蔵美支部会に目を移せば、支部会発足以来、第2回目の展覧会を開いたことは、何より今年の収穫でした。展覧会復活!
私たちアーティストにとって、発表の場があることはうれしいことです。
展覧会場のMCギャラリーがこの後、出来れば毎年、スペースを提供してくれればいいですね。
2016年が皆さんにとって良い年でありますように。張り切って新しい年を迎えましょう。

《お知らせ、面白いアイディアなど募集しています》
グループ展、個展、どんな小さな発表でも、お知らせください。ニュースレターに載せたいこと、仕事に関すること、その他ご意見などもお寄せください。また、イベントなどのアイディアなどがありましたらご連絡下さい。アイディアだけで結構です。どんなアイディアでも、もしかして皆の力で面白いものに発展させることが出来るでしょう
たとえば、一つのタイトルを決めて、そのタイトルの元にそれぞれが作品を作るなど。インスタレーション、ミュージックとのコラボ、社会的、政治的な発言としてのアートなど、形式も問いません。

Art Student Leagueのグループ展で西村理恵さんの作品を観ました》
11月のニュースレターでご紹介したGallery Onetwentyeight(マンハッタン、ローアイーストサイド、128 Rivington St New York NY)でArt Student leagueに所属する日本人のメンバー10人のグループ展が12月の半ばからクリスマスイヴまで開かれていました。
そのオープニングで、グループ展に出品されていた武蔵美出身の西村理恵さんにお会いしました。
西村さんの作品は40インチ×40インチほどのキャンバスに、様々な色の絵の具をスプラッシュしたようなテクニックで描かれた、生命の躍動を感じさせる抽象画です。
最初、彼女はパフォーマンスをするというので、彼女はパフォーマーであり、またアーティストなのかと思っていたら、西村さんの場合、パフォーマンスと絵画制作とは一つのものなのだということが分かりました。
パフォーマンスというのは体の動きです。それは彼女にとっての一種の瞑想なのです。瞑想にはじっと座ってやる方法と西村さんのように、目を閉じて、体の赴くままに動くというやり方があります。禅の瞑想、その他いろいろな分野で行われている瞑想とは、どのような入り方であろうとも、自己の無意識の奥深くへの旅へ赴くことです。
目を閉じて体を動かすことによって顕れ出るものを、すでに目の前に用意されたキャンバスに向かって、同じく用意されている絵の具で、この瞬間に自己の身体という宇宙で駆け巡る純粋な感情を絵画という表現手段に置き換える、というのが西村さんのアートです。
これはまた、一つの自己解放、ヒーリングというものではないかと思います。西村さんは心のデトックスと言っていられましたが、彼女の場合、誰の導きもなく、単独でその世界を旅することが出来るのは、彼女が芸術家だからです。
キャンバスという視覚可能な、そして形として存在するものを残しながら、普通の絵画と違っているのは、西村さんという一人の人の心を、そして身体を通過した感情の軌跡であるということです。
そして、軌跡といいながらも、なによりアートそのものとして、その形態と色使いの美しさは、見る者をハッピーにする力を持っています。何故西村さんの作品がハッピーな生命の躍動を伝えているのかといえば、パフォーマンスを通じ、彼女自身の中にある、心の矛盾を解放しているからに他なりません。
西村さんは武蔵美の支部会のことをご存知なかったのでメンバーにお誘いしました。次の支部会の展覧会では、西村さんのパフォーマンスアートを発表していただくことになりますのでお楽しみに。

《丸木位里、丸木俊夫妻の「原爆の図」を観る》
今年6月から8月中旬まではワシントンDC、9月から10月はボストンと巡回
していた丸木位里、俊夫妻の「原爆の図」の展覧会が、11月から12月にかけて、最後の場所、ここニューヨークで開かれました。
ブルックリン、レッドフックにある展覧会場Pioneer Worksは現代美術、文化の実験的な場として2012年にオープンしています。煉瓦の3階建ての建物の半分を、1階から3階までをぶち抜いているので天井が高く、1階、2階、3階の窓はそのまま残して、見上げる窓から冬の陽が差し込んでいました。その広々とした静謐な空間の窓とは反対側の長い壁に「原爆の図」の屏風絵が展示されていました。全部で15点のシリーズの内、6点が今回の巡回展覧会に日本より運ばれて来たのです。
広島は丸木位里の故郷、原爆投下の8月6日には東京にいた位里は3日後に、俊は6日後に広島に入り、一面の焼け野原を見ます。
そして5年後に、「原爆の図」のシリーズの最初の作品、「幽霊」が発表されます。
写真は現実をそのまま写し取りますが、時に絵画は写真以上のものを私たちの心に刻み込みます。水墨画家の丸木位里、油彩画家の丸木俊、その二人の深い悲しみと深い怒りが表現してくれた絵の前で、私たちは作家の目を通して彼らの見たものを生き生きと見るのです
画家としての力量にも感心しました。例えば、画面の中の構図の取り方。ほとんど色はなく、黒い墨だけで描かれた作品の、ラインワークだけで残す表現と濃い墨を多く使う表現の見事なバランス、描かれている内容は心をえぐる悲しみですが、表現するということに、学ぶことも多い作品です。
作品としての基本色は黒と赤、そして黒い墨をはかなく消す色としての白。戦火の悲惨にそれ以上の色はありません。炎と血と、閃光としての白と。
この様な作品こそ人類の遺産というべきものでしょう。
最後はシリアスな話になりましたが、みなさん、良いお年をお迎え下さい。

A Happy New Year!

11/25/2015

msb ! ニュース November


お知らせ

 12月に日本から会報が発送されます。住所変更がある方はお知らせ下さい。

 展覧会やイベントのお知らせだけでなく、仕事のこと、普段の活動のこと、また皆さんにこんなことを伝えたい、ということなどの情報も募集しています。どんなことでも結構です。ご連絡下さい。


ピーナッツふたたび
キノマホさんのピーナッツの版画作品を見にManhattan Graphic Center Mini 版画展に出かけました。版画工房の壁に100点余の3インチ×3インチくらいのサイズの版画(エッチング、リトグラフ、シルクスクリーン、木版)が展示されていました。キノさんの作品はこの展覧会でHonorable Mentionを授与されました。

前回と同じくピーナッツは登場していますが、今回は動物もいます。
ピーナッツは画面の右端でボートに乗っています。そして左端からボートのピーナッツよりずっと大きい鹿の半身がのぞいています。セピア色のどこかフラジルな線の描写で、淡いオーク色の画面にはやはり淡いピンクがところどころに重なっています。
動物が登場しているせいか、古代の壁画のようにも感じられます。あるいは絵巻物の一部のようにも。それが見る者をドリームタイムに誘うのです。キノさんのセンスに感嘆する一点でした。

Manhattan Graphic Center
250 West 40 Street New York NY 10018 5th Fl

Mini Print Show

Nov 1—Dec  8
Monday ---6pm-10pm , 
Tuesday—Friday 10am—10am,  
Saturday, Sunday 10am—6pm



私は日本の社会、政治の出来事を知りたいので、朝日新聞、毎日新聞のデジタル版をほとんど毎日見ています。11月12日の朝日新聞で思いがけないニュースを見つけました。
支部会の方々の中にはすでにこのニュースをご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、今月のニュースレターはこのことについて書かせていただきたいと思います。

「武蔵美、朝鮮大 突然、目の前がひらけて」
武蔵美に隣接する朝鮮大学との間に橋を架けようというアートプロジェクトがついに完成し、11月13日から21日まで公開される、という記事でした。(このニュースレターが皆さまに届く時には終わっていますが)
掲載されている写真を見ると、橋は木製の階段状で、両校を隔てている壁の両側に制作されています。両校での合同美術展、「突然、目の前がひらけて」の期間中、橋を渡り双方の会場を行き来できるようになっています。

この記事を見つけたのは奇しくも同時多発テロがパリで起こった日でした。デジタル版の新着記事の冒頭にテロのニュースがあり、その後、スクロールダウンしていったら、「壁と向き合う橋、武蔵野美大と朝鮮大学校の学生らが制作」というタイトルに出会ったのです。
これ何!?ドキドキする思いですぐにページを開くと、「突然、目の前がひらけて」という文字が目に飛び込んできました。たった今テロの記事を読んだばかりの頭に、すがすがしい空気が流れていくようでした。

武蔵野美大と朝鮮大学校の敷地の境界には壁が立っています。壁がお互いを隔てています。
このプロジェクトを企画したのは一人の武蔵美の教授、同校の卒業生を含む3人と、朝鮮大の学生2人。朝日新聞の記事によると、きっかけは武蔵美のメンバーの一人、灰原千晶さん。
彼女が壁の向こうを意識したのは在学中の4年前。自分のアトリエと朝鮮大の学生寮は目と鼻の先で、時々話し声も聞こえてくる。でもどんな人たちがいるのかは知らない。同世代の触れ合ったこともない隣人への思いを、壁に向かって自分の側だけの橋の作品を作り「渡れるかもしれない橋」と名付けました。作業中、朝鮮大の男子学生の寮から「何をしているの?」と声をかけられた。雨が降ればビニール傘を渡してくれたりして、小さな交流が始まります。

またその頃、朝鮮大の美術科ツイッターで知った展覧会に、仲間たちと訪れ、そこで朝鮮大の3世、4世の研究生らと知り合うことになりました。
そして、壁を越えて知り合った彼女たちは一緒に画廊巡りをする仲になります。(ムサビ3人、朝大2人の5人のメンバーはすべて女性)そして昨秋、「橋」を皆で作ろうと決めたのです。
そんな日々の中で、時に彼女たちは目に見えない壁にぶつかります。
例えば「選挙権がないって本当?」「そうそう」朝鮮大の友人が答えます。でも「そのこと、どう思っているの?」と武蔵美の学生たちは聞けない。「知ってもどうすればいいのか分からなかった」からだと言います。

こうして親交を深めた彼女たちは、アートのことだけでなく、当然二つの国の問題を話し合
うことになります。
「橋を渡す」というプロジェクトが、「平和の象徴」や「交流の大切さ」にとどまらない意味を伝えるものにしたい。そんな思いから週1、2度集まり、自分たちのルーツや互いの社会のことなどを議論するようになります。
過去の歴史についても話し、互いに質問し合う。すれ違いや沈黙、居心地が悪い時もあったけれど会い続けた彼女たち。異なった場所にいる相手と話すことで、朝鮮大の彼女は「在日であることを見つめたい」と言い、灰原さんたちは、自分たちも無意識に多数派の立場から話していたことに気づいたと言います。
そうして話し合いが続いていたある日、「いっそ壁を外そう」という案が出ました。でも朝鮮大のメンバーの一人はこう言ったといいます。
「わたしは双方の壁を認めた上での対話がしたい。この壁があってこその橋を架けたい」

1989年11月にとうとう崩壊したベルリンの壁、そして崩壊どころか今も次々に違法の入植を続け、建設されているイスラエルによるパレスチナを囲う壁。
壁は他者との対話を拒むものです。今、日本では、ことに安部政権になってから、日本と韓国、中国との間で過去の歴史認識について厳しい緊張の状態が続いています。目には見えないけれど、日本と韓国、中国との間には「壁」が立ちはだかっています。この「壁」を私たち日本人はどのようにして破るのか。隣人との和解はことに大切です。

一週間ほどして完成した橋は階段を上って行き、最後の一歩は壁をひょいとまたいで渡る。橋の上に立つと両校の校舎がよく見えます。
壁に向かって橋を架けよう。そしてその橋を渡ろうと決意したその時に、その人はすでに新しい一歩を踏み出しています。彼、彼女らは新しい世界を開いたのです。

「橋」と展覧会の詳細は


これはFacebook でサイトを開いているので、 Facebookのアカウントを持っていない私はコメントを書くことが出来ませんでしたが、アカウントを持っていられる方はコメントを送って下さい。

筆:神舘美会子


10/28/2015

msb!ニュース October

msb!ニュース October

支部展の写真をアップしました。ご覧下さい。

https://get.google.com/albumarchive/109548545392615383511/album/AF1QipO7xT-kA7G-39_RMsDr6KjkKLwz9stcJI58EYg2









二つの展覧会
ハリケーン•オアキンの余波が残る曇り空に、時々霧雨と強風の混じる10月3日、土曜日、田中よしみさんとキノマホさんの展覧会に出かけました。
田中よしみさんの展覧会が開かれていた場所は、ブルックリン•レッドフック。
ニューヨーク湾に面したレッドフックの波止場にある、およそ500フィートはあると思われる長い赤煉瓦の2階建ての建物の中にはアートの展示場、工芸店、レストランなどがあります。このとんでもなく長い煉瓦の建物は、かつて波止場が船着き場として賑わっていた頃には、多分倉庫として使われていたのかもしれません。
建物の前は波止場のデッキで、何隻かの海上タクシーが停泊していました。ところがこの海上タクシーは、陸の上ではとっくになくなってしまった黄色と黒のチェッカー模様のデザインなのです。そこで思わず興奮。
海上に目を移すと自由の女神が見えます。マンハッタンのバッテリパークから見るより大きくて(つまり近いのでしょう)、何だか得をした気分になりました。
また、海に面して公園とボードウオークの遊歩道が最近建設されて、ちょっとした憩いの場所になっています。
私が行ったのは海の上の空には怪しげな灰色の雲が覆っていた日でしたが、晴れた日に来たら気持のよいひとときが過ごせるところです。
さて、展覧会場に進みましょう。

田中よしみさんのクレイアート(陶芸)展 
12インチ×8インチ、高さは2インチくらいの長方形の箱庭を連想させるオブジェです。比喩はちょっと俗っぽいのですが、お弁当箱を思い浮かべていただければ視覚化がしやすいと思います長方形の箱の3分の2くらいは箱の高さ2インチの平らな茶系のグラウンドです。そこに数個のオーカー色の渦巻きが描かれています。箱庭というのが最初のイメージだったせいか、ちょうど竜安寺の石庭の波を模して履かれた渦巻きのデザイン化のようにも見えます。残りの3分の1は低くなって(底が見えて)います。
(お弁当箱でいえばおかずの入っている部分です)
そして低くなっている部分にはブルーやエメラルド色の細かい石がはめ込んであり、まるでキラキラ光る水底のようです。全体に艶があるので、私には滝のように感じられました。この高低があるのが箱庭を思わせるのです。
これはこのままでも彫刻作品として美しいものですが、ブルーの石がはめ込んである部分に水を張り、小さなケンザンを置いて花などを生ければ、作家の意図は分かりませんが、花器にもなるのではないかという、それ自体で造形作品であると同時に、陶芸の実用性という、別の空間も出現させる面白い面もあります。

キノマホさんの展覧会
 田中よしみさんの展覧会のあと、キノマホさんのグループ展が開かれている画廊に向かいました。
9月のニュースレターで、キノさんのオレンジのバックグラウンドに一つのピーナッツがある作品を、殻の中から顔を出しているピーナッツと思ったのですが、本物を見たらボートに乗っているピーナッツでした。何しろ1968年の卒業ですから目がこの上なく悪く、ショーのお知らせの写真ではオレンジ色の画面のほぼ中央に描かれたのが、ボートに乗ったピーナッツとは見えなかったのです。すみません。
画廊のドアを押して中へ入ると、入ってすぐのロビーに、キノさんの15点ほどの作品がまとまって展示されていました。奥の何人もの作品が展示されている二つの部屋とは別に、キノさんの作品のためだけのスペースといった感じです。
スキーをするピーナッツ、サーカスを見物に来たピーナッツ、数人?で風船を空高く上げているピーナッツ、一人乗りの小さなボートで川下りをするピーナッツ。様々なピーナッツの容態が描かれています。
このピーナッツたちはもちろん疑似人間ですが、それをピーナッツにすることで、一つ一つの場面に自由と開放感を感じさせます。もし人間だったら少しも面白くありません。
ピーナッツだからこそ見る者に開放感を与えるのです。
これらのピーナッツはセピア色のやわらかな線で描かれていて、そのどこかFragileな描写が、わたしたちを夢に誘います。思わず微笑んでしまうという感じです。そうしてキノさんの世界に誘い込まれてしまいます。それにしても、ピーナッツに生命を吹き込むなんて独特ですね。また、アンティックのフレームも見る人の心を和ませるのに効果を上げています。
ずっと見ていると物語が生まれて来るようです。
キノマホさんの展覧会は11月7日までありますので、まだ間に合います。ぜひお出かけ下さい。
Corridor Gallery
334 Grand Ave Brooklyn, NY 11238
12-6pm
ギャラリーは日曜日しか開いていないようですが、私は土曜日に行きました。行く前に電話することをお薦めします。

展覧会のお知らせ
神舘美会子グループ展
“ Holiday Show”
November 18 – December 13
Opening Reception : Wednesday,  November 18, 6 – 8pm
Gallery Onetwentyeight
128 Rivington Street, New York, NY 10002
(212) 674-0244
Gallery Hours : Wed – Sat 1 – 7pm / Sun 1 – 5pm
Transportation : F, Delancy Street / M, J, Z, Essex Street. Walk One Block North.
ギャラリーOnetwentyeightのご紹介
ギャラリー128は、1986年にオープンした、ローアイーストサイドで最も長く続いている画廊です。
オーナーでディレクターの宮本和子さんは彼女自身もアーティストで、1964年に渡米した時からずっとローアイーストサイドに住み、当時は低所得者の移民の地域だったこの町をこよなく愛して、ローアイーストサイドの下町的スピリットを保ちながら、新しいアートを模索し続けるコンテンポラリーの画廊です。

筆:神舘美会子 企画、編集:小柳津美香 

ニュースレターの発行は毎月1回です。情報記載ご希望の方は20日にご連絡をお願い致します。musabiusa@gmail.com

Facebookの校友会アメリカ支部ページも是非ご利用ください。
http://www.facebook.com/groups/128241103665/


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9/26/2015

msb!ニュース September

ごあいさつ
猛烈に暑い日は少なかったけれど、いつまでも暑さが続いた今年の夏。それでも支部展搬出の次の日の日曜日から急に秋の気配が広がって、今や日ごとに夏が退場していくようですね。
ご紹介させていただきます。私は今月からニュースレターを書くことになった神舘美会子(ミタチ ミエコ)です。1968年の卒業で、専攻は油絵科です。1968年というと支部会メンバーの中にはまだ生まれていなかった方も多くいらっしゃると思いますが、年代の違いを越えて一緒に仕事をするのがAlumniの楽しいところです。
3年前、支部会の最初の展覧会がクイーンズのロングアイランドシティーで開かれた時、展覧会にはまいりましたがその後ずっと会には参加することなく、私がこの支部会に入会したのはほんの数ヶ月前です。それから、長い年月ほとんど思い出したこともない遠い日々がよみがえってきました。
空と大地だけの思い切り広々とした武蔵野の野に学びの舎がありました。中央線高円寺の産の私には感動とさえ言っていいのびやかな大地でした。私は広々とした大地に立った最初の日を今もくっきりと覚えています。
けれども私たちの学年は鷹の台の校舎には2年だけで、後の2年は今は通信教育にのみ使われているという吉祥寺の校舎に移ることになりました。秋の芸術祭も鷹の台校とは一緒ではなかったので、もう一度鷹の台へ行ったのは卒業式の時だけですが、鷹の台での2年間の思い出は特に武蔵野の原野と切り離すことは出来ません。
先日支部展のオープニングの会場で、卒業生の一人の方と話をしました。学校から鷹の台の駅までの辺りは、私が通っていた50年前の面影などないでしょう。当時は正門前も駅までの道も畑が続き、家がちらほらある程度でした。と話しているうちに玉川上水の話になりました。ところがその方の話では、文豪、太宰治が入水自殺した玉川上水は昔とあまり変わっていないそうですよ、ということでした。その途端に、私の足は50年前の玉川上水の細い小道の土を踏みしめていました
朝はたいてい国分寺の駅からバスに乗っていましたが、帰りは玉川上水の林の中を歩いて津田塾大学の方面に抜け、国分寺の駅まで歩いて友人達と話しをしながら帰ることもありました。
こんなことを思い出させてくれるのも、学び舎を共にした方々と集う機会があってのことです。どうぞこれからもよろしくお願いいたします。

第2回 むさび展
今回の展覧会の会場になったGallery MCはマケドニアのギャラリーで、オーナー及びギャラリーの主要な人々も親日家とか。支部会のリーダーとも言える依田寿久さん、依田順子さんはギャラリーと長年の友達付き合いで、お二人とも個展、二人展、マケドニアのアーティストとのグループ展にも参加しているという間柄。そんな関係でお二人がギャラリーに交渉して下さり今回のショーの運びとなったのです。
第一回目の展覧会の会場だったResoboxは、あまりにスペースが小さすぎましたが、今回のGallery MCはちょうどよい大きさで、ゆったりと作品を並べることが出来ましたし、ちょっと暗めの照明が落ち着いて作品を見られる効果を出していました。場所がサブウェイの駅から遠く、ちょっと不便なのでどれくらいの人が集まるかなと思っていたら、満員というくらいの沢山の人が来てくださいました。
またGallery MCについて、私は今までに数度、依田さんご夫妻のショーには行っているので、スペースは知っていたのですが、今回ご夫妻のご努力でMCに決まったと聞いた時には、咄嗟にムサビには合っているギャラリーだなと思いました。
校風というのがあります。ムサビは私が学生だった当時(50年前!)、「ムサビの性格は野武士的」と言われていました。野武士というのは既成の体制には迎合しないアバンギャルドですから芸術家には必要なものですね)
何しろ50年前のことですから今はどういう風に言われているのかは知りません。でも校風というのは案外変わらないものではないかと思います。それは次々に引き継がれていくものですから。別の言葉で言えば伝統。伝統は長い年月、そこで学び、育った人々の形成したものです。
オープニングに来場していた一人の人の話。「展覧会は中々良かった。そしてもう一つおまけがついていたのも良かった」
「おまけ」というのはあの手動式エレベーターのことです。今はもうあんなエレベーターを見ることはほとんどなくなりましたが、かつて、(30年くらい前まで)ソーホーやトライベッカがビジネスピープルに占拠される前、ほとんどのロフトがアーティストの住処だった頃はロフトのエレベーターには手動式のものが結構あったのです。ロフトは、元は倉庫、あるいは工場に使われていたのですから大きな物を運ぶにはあの様なエレベーターの方が便利だったのでしょう。
そういう今では珍しい場所で展覧会を開くというのもムサビっぽいと言えるかもしれません。

新人賞のお知らせ
 金子れいこさんに新人賞が決まりました。これを機会にどんどん良い作品を創られることを期待いたします。

二つの展覧会のお知らせ
メンバーの二人の方の展覧会のお知らせです。

Maho Kino
 
エッチングのオレンジ色の画面の中に一粒のピーナッツ。
一粒のピーナッツの表現するものは萌芽。生まれでる心のときめき。視覚という手法で表現された詩。それは美しい日記帳です。
展覧会は11月7日までです。ぜひお出かけください。


"In Pursuit of Freedom"
September 13 - November 7, 2015

Sundays 12-6 and by appointment
Corridor Gallery​
334 Grand Ave. Brooklyn, NY11238



Yoshimi Tanaka
 
支部展に出品されていた作品は、黒い塊の中に不思議な力がこもっているのを感じさせる彫刻でした.
オープニングは10月3日です。ぜひお出かけください。

"The Third Annual National Ceramic Show"
Opening Reception – Saturday, October 3, 1:00-6:00pm


Awards Ceremony – Saturday, October 3, 3:00pm
Special Clay Events  – Saturday, October 17th & Sunday, October 18th
Gallery Hours: 1:00 – 6:00pm (weekends only)
481 Van Brunt Street door #7 upstairs Brooklyn, NY 11231
多摩美展
多摩美術大学交友会ニューヨーククラブ展覧会が9月16日から2週間(9月29日まで、月曜日もオープン)開催されています。
今年で4回目になる天理ギャラリーは高い天井、真っ白な壁、明るい会場。多摩美の校風に合っているなーと感じるスペースです。
メンバーの作品展示の他、メンバー及びメンバーの友人など有志による葉書サイズのアート作品も100点以上展示されています。1点50ドルで、売り上げはニューヨークでは小学校のアフタースクールプログラムや、その他の教育活動を続けているChildren Aid Societyを通じて「未来を担う子供たちへの教育援助プログラム」へ寄付するという企画だそうです。こちらも結構面白いです。あと2日しかありませんが、お時間があったらお出かけ下さい。
天理ギャラリー
43 West 13 Street, New York NY 10011  http://www.tenri.org
時間 12-6pm() 10am-3pm ( ) 金、日、休み  (最終日  29日は 5pmまで)
最後に一言付け加えさせていただきます。私は今回からニュースレターを書くことになりましたが、何しろコンピューターは基礎的なWordの操作, Eメールと簡単なウェブ検索、アマゾンでのお買い物、ということしか出来ないアナログの人なので、文章は私が書きますが、画像の挿入、画面のレイアウト、送信など最後の仕上げは引き続き小柳津さんにお願いすることになります。小柳津さん、ありがとうございます。



筆:神舘美会子 企画、編集:小柳津美香 









ニュースレターの発行は毎月1回です。情報記載ご希望の方は20日にご連絡をお願い致します。musabiusa@gmail.com

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