1/29/2016

msb ニュース January

みなさま、明けましておめでとうございます。
この冬は「暖冬」で終わるかなと思っていたら、新年に入って「そうはさせぬぞ」とばかり、気温は下がり、つい数日前は激しい吹雪になりました。それでも次の日の日曜日は快晴で、気温もそれほど低くなかったので、子供たちがあちこちで雪遊びをしているのが見うけられました。
今月はお知らせが沢山あります。


泉田とおるさんのパフォーマンス》
昨年12月19日に泉田さんが、Fukadelic Studio-Studio1 (209 West 40th Street 5th Floor New York NY 10018) で、DJ Google Street Viewを組み合わせた     Contemporary Hip Hop Music Live Show のパフォーマンスを行いました。
インターネットで育ったジェネレーションの泉田さんは、ディジタルの世界にこそ彼のアートの表現の場があると言います。ウェブの世界の中は、ちょうどSF映画の「スターゲイト」に似ています。
古代エジプトの遺跡から謎の文字が書かれた巨大な輪が発見されます。その輪はどこか別の星にある輪と時空を越えて繋がっているのです。輪を立てると輪の中はスクリーンのようになり、それはちょうどコンピューターのスクリーンにも似ています。
探検隊が結成され、彼らは輪で囲われたスクリーンの中の異次元の世界に入って行きます。
Google Street View のストリートは私たちが知っているこちら側のストリートに似ていますが、異次元のストリートです。その無人のストリートには音楽が流れています。
泉田さん、これからも自由自在にウェブの世界を飛び回って下さい。
これは泉田さんからの提供です。
アートショーなどのオープニングでパフォーマンスが必要な時、お声をかけていただければ幸いです。とおっしゃっているので、みなさま、そのような機会がありましたら泉田さんに声をかけて下さい。
泉田さんのパフォーマンスのウェブを掲載しますのでご覧下さい。
大野廣子さん、AIR Gallery グループ展、  みゆき画廊50周年記念展に出品》
AIR Gallery (Dumbo)  Generations X / RAZZLE DAZZLE
January 7 -  February 7, 2016
Wednesday – Sunday  12-6 pm
212-255-6651
155 Plymouth Street Brooklyn NY 11201
(F line to York Street, A/C High Street)
みゆき画廊 50周年記念展
1月12日(火)─1月23日(土)
東京都中央区銀座6丁目4−4

東京、銀座のみゆき画廊は今年で50年。ところがビルの立て替えで3月いっぱいで閉廊することになりました。
大野さんが大学院を卒業した翌年の1985年に初めて個展をした画廊で、みゆき画廊は当時の若いアーティストたちにとってはあこがれの画廊。多くの画家たちがここからデビューをし、登竜門のようなところだった。柔らかい光の美しい空間。長きにわたって変わらぬ姿勢で美術の移り変わりを見つめてきた希有な場所。大野さんは特別な思い
入れで、みゆき画廊について語っていられます。
大野さんはAIR Gallery のすぐ近くのDUMBOにお住まいなので、ギャラリーの後にビルの28階にある彼女のスタジオを訪れました
壮大な風景が広がる。高さ8フィート、横は2枚のパネルで10フィートはあると思われるキャンバスに描かれているのは都市だ。だがその手前に大河がある。大河の向こうにパノラマのように広がる都市の建物。しかし不思議なのはそれがただの都市の風景ではないことだ。矢を連ねたような光の束と、四角い柱のような光などが、大河と都市の上に描かれている。
それは彼女の直感が見たものだ。それは彼女の目の奥に広がる壮大な空間の中に顕れる。
私はこの作品を見た後で、イギリスの作家、Andy Goldsworthyを思い出した。スケールや手法もまったく違うのだが風景の中に何かを見るのと、何かを置くということがGoldsworthy を思い出させたのだと思う。Goldsworthyは彫刻家だけれど、環境アーティストと言った方がよい。彼がこだわるのは場所、都市とか自然とか。彼はそこに思いがけない異質なものを置く。位置は彼のコンセプトだ。たとえば林の中の小川に鋭く尖った長い何本ものアイスクル(つらら)を置くとか、林の中の空間に白くペイントした木の枝を連ねて置くとか。沢山の鳥の羽根を使って作った形を風景の中にはめ込むとか。
そこに異質な空間が顕現する。突然そこに空気が流れる。
Goldsworthyの作品には時間も関係している。それらのオブジェが、時間と共に変化し消えていくものでもあるからだ。
大野さんの作品の場合にも時間を感じます。現在は都市(ニューヨーク)を描いているけれども、以前の作品には砂漠を描いたものが多いのです。(実際にゴビ砂漠に行って描かれたそうです)だから最近の何点もの都市の作品でも、「都市という自然」という感じがします。彼女の都市はすべて高いところから見た風景なので、砂漠のようなダイナミックな広がりがあります。
だから実際に大野さんが描いているのは大いなる空間なのだと思います。
それはみゆき画廊に出品している、濃紺の空間の上部にひっそりと輝くやわらかな垂直の光の下に、画面の4分の一ほどのところに地平線のような、うっすらと桃色がかった光の池がある「Galaxy」も、AIR Galleryに出品している抽象的な形で輪のような形を作り、その窓から遠くに地平線が見える作品も空間を描いているからです
AIR Gallery の作品は小さいものなので、私の感想は分かりにくいですが、いつか大野さんの大きい作品の展覧会があることを期待したいと思います。ご興味のある方は大野さんのウェブサイトをご覧下さい。(名前で検索してください)

西田翔冠さん、WAH Center メンバー展に参加》
ブルックリン、ウイリアムズバーグにあるWAH Centerのメンバー展が1月30日より2月21日まで開かれます。
実際は1月23日がオープニングの日でした。ところがこの日は東海岸を襲った大雪のため、前日にキャンセルと決まり、1月30日に延期されたのです。そのため、今回のニュースレターで西田さんの作品についてのご紹介は出来ませんが、展覧会の詳細は下記のとおりです。
17th Annual WAH Salon Art Club Show
January 30--- February 21
Opening Reception --  Saturday, January 30,  4-- 6 pm
135 Broadway Brooklyn NY 11211    M Train Mercy Street 下車(One stop from Manhattan)
(718) 486-6021 or  (718) 486-7372
(WAH Center---Williamsburg Art & Historical Center は1800年代に建てられた歴史のある建物で、ニューヨーク市のランドマークビルディングです。一見の価値があります)

尾曽越 理恵さん(Rie Osogoe) のグループ展)
Art Student League, Exhibition Program ──3人展
November 16/2015 ---  March 16/2016
New York International Arbitration Center
150 East 42nd Street New York NY 10017
Office  917-300-9550
Cell      646-643-6643   Martyna Hogendorf
展覧会は3月16日まで続いているので時間はありますが、行く前には必ず電話をしてアポイントメントを取ってください。
Arbitration Centerは裁判の最終決定をするところです。そこで、裁判が行われている時間は建物の中に入ることが出来ないのです。それが数時間ではない時もあるので、行く予定の前には必ず電話をして下さい。
(私は入れなかったので、尾曽越さんの作品のご紹介は来月のニュースレターになります。)
尾曽越さんはこの展覧会で58×46インチの大きい作品を2点出品しています。

《多摩美術大学同窓とその仲間達展》
「多摩美術大学とその仲間達展」がニュージャージー、フォートリーの公立図書館で開催中です。多摩美術大学同窓12名と、その仲間達7名の優れたアーティストによる展覧会です。
多摩美は昨年の秋の、天理ギャラリーでのグループ展(多摩美展)でもそうでしたが、地域とのふれあい、コミュニティーサポートなどの外へ目を向けた活動もアートの中に取り入れています。今回の展示の公立図書館にはフォートリーという場所柄、日本の書籍、映画、CDも揃っていて、日本人にはなじみやすい所です。
この展覧会にはフレンド作家として、武蔵美からは西田翔冠さんが参加しています。
当企画の根底に流れる、友愛のコンセプトを感じ取っていただけたら幸いですと、このお知らせをお送り下さった多摩美校友会のメンバー、アーティストの越光桂子さんよりのメッセージです。
ミツワマーケットなどに行かれる時には是非、立ち寄って下さい。
1月4日(月)─2月27日
Fort Lee Public Library
320 Main Street Fort Lee NJ 07026
(201) 592-3615
《1960年代の銀座、みゆき通り》
銀座、みゆき画廊。私は展覧会をしたことはありませんが、友人達、同級生達の個展などで何度も行ったことがあります。
そこで今回のニュースレターの結びはアートをちょっと離れて、みゆき画廊のある銀座みゆき通りについて書かせていただきたいと思います。
「みゆき族」ってご存知ですか?1963年か1964年頃、銀座みゆき通りで一時、独特のファッションで話題になったヤングのグループのことです。
私が高校から武蔵美に入学した頃のことです。十代後半くらいの男女が、彼ら独創のファッションで、みゆき通りのあたりをぶらぶらと歩く、ということから、これらの若者たちを「みゆき族」と呼ぶようになったのです。
女の子は白いブラウスにロングスカート。スカートのベルトは後ろでリボンに結ぶのがきまりで、ペッタンコの靴を履き、ズタ袋をかかえていました。男の子はアイビーファッション、バミューダショーツなどでまとめ、同じくズタ袋や、「VANのバッグなどを持っていました。
1960年後半になるとファッションの中心は新宿や渋谷に移りますが、1964年頃はまだ銀座だったので、みゆき通りが選ばれたのかもしれません。
このファッションはまったく彼、彼女らが作り出したもので、それは彼、彼女らの、既成のルールにははまらない、という考え方をファッションで示しているようでした。(ズルズルしたロングスカートやズタ袋に眉をひそめる大人たちもいました)
私はロングスカートもズタ袋もやりませんでしたが、(みゆき通りもぶらぶらしませんでしたが)白いブラウスに膝丈のスカートの後ろは蝶々結び、といういでたちで学校(武蔵美)に行ったりもしていました。
けれども既成のルールにははまらない、自由な考え方という彼らの行動は、近辺の店主などからうろうろ歩かれて商売のじゃまだと警察に訴えられ、すぐに警察の取り締まりに会うことになりました。
「かみなり族」「太陽族」「暴走族」「フーテン族」。この頃は次から次へと「族」流行りでしたが、今日の日本の若者たちが、「正社員族」と「非正規社員族」という、何とも悲しい経済格差による区分しかないのに比べて、それぞれの内容はともかく、経済ではなく、生き方の表現であったのは、明るい時代であったということです。
今月のニュースレターは沢山のお知らせがあって、歌舞伎の三人吉座じゃないけれど、「ほんに春から縁起がよいわえ」となりました。
制作に仕事に、またいろいろな分野で、今年も頑張っていきましょう。