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筆:神舘美会子 企画、編集:小柳津美香
二つの展覧会ハリケーン•オアキンの余波が残る曇り空に、時々霧雨と強風の混じる10月3日、土曜日、 田中よしみさんとキノマホさんの展覧会に出かけました。 田中よしみさんの展覧会が開かれていた場所は、ブルックリン•レッドフック。 ニューヨーク湾に面したレッドフックの波止場にある、およそ500フィートはあると思われる長い赤煉瓦の2階建ての建 物の中にはアートの展示場、工芸店、レストランなどがあります。 このとんでもなく長い煉瓦の建物は、 かつて波止場が船着き場として賑わっていた頃には、 多分倉庫として使われていたのかもしれません。 建物の前は波止場のデッキで、何隻かの海上タクシーが停泊していました。 ところがこの海上タクシーは、 陸の上ではとっくになくなってしまった黄色と黒のチェッカー模様 のデザインなのです。そこで思わず興奮。 海上に目を移すと自由の女神が見えます。マンハッタンのバッテリパークから見るより大きくて( つまり近いのでしょう)、何だか得をした気分になりました。 また、海に面して公園とボードウオークの遊歩道が最近建設されて、 ちょっとした憩いの場所になっています。 私が行ったのは海の上の空には怪しげな灰色の雲が覆っていた日でしたが、 晴れた日に来たら気持のよいひとときが過ごせるところです。 さて、展覧会場に進みましょう。
田中よしみさんのクレイアート(陶芸)展12インチ×8インチ、高さは2インチくらいの長方形の箱庭を連想させるオブジェです。 比喩はちょっと俗っぽいのですが、 お弁当箱を思い浮かべていただければ視覚化がしやすいと思います 。 長方形の箱の3分の2くらいは箱の高さ2インチの平らな茶系のグ ラウンドです。 そこに数個のオーカー色の渦巻きが描かれています。 箱庭というのが最初のイメージだったせいか、 ちょうど竜安寺の石庭の波を模して履かれた渦巻きのデザイン化の ようにも見えます。残りの3分の1は低くなって(底が見えて) います。 (お弁当箱でいえばおかずの入っている部分です)そして低くなっている部分にはブルーやエメラルド色の細かい石がはめ込んであり、まるでキラキラ光る水底のようです。 全体に艶があるので、私には滝のように感じられました。 この高低があるのが箱庭を思わせるのです。 これはこのままでも彫刻作品として美しいものですが、ブルーの石がはめ込んである部分に水を張り、 小さなケンザンを置いて花などを生ければ、 作家の意図は分かりませんが、花器にもなるのではないかという、 それ自体で造形作品であると同時に、陶芸の実用性という、 別の空間も出現させる面白い面もあります。
キノマホさんの展覧会田中よしみさんの展覧会のあと、キノマホさんのグループ展が開かれている画廊に向かいました。 9月のニュースレターで、キノさんのオレンジのバックグラウンドに一つのピーナッツがある 作品を、殻の中から顔を出しているピーナッツと思ったのですが、 本物を見たらボートに乗っているピーナッツでした。 何しろ1968年の卒業ですから目がこの上なく悪く、 ショーのお知らせの写真ではオレンジ色の画面のほぼ中央に描かれ たのが、ボートに乗ったピーナッツとは見えなかったのです。 すみません。 画廊のドアを押して中へ入ると、入ってすぐのロビーに、キノさんの15点ほどの作品がまとまって展示されていました。 奥の何人もの作品が展示されている二つの部屋とは別に、 キノさんの作品のためだけのスペースといった感じです。 スキーをするピーナッツ、サーカスを見物に来たピーナッツ、数人?で風船を空高く上げているピーナッツ、 一人乗りの小さなボートで川下りをするピーナッツ。 様々なピーナッツの容態が描かれています。 このピーナッツたちはもちろん疑似人間ですが、それをピーナッツにすることで、 一つ一つの場面に自由と開放感を感じさせます。 もし人間だったら少しも面白くありません。 ピーナッツだからこそ見る者に開放感を与えるのです。これらのピーナッツはセピア色のやわらかな線で描かれていて、そのどこかFragileな描写が、わたしたちを夢に誘います。 思わず微笑んでしまうという感じです。 そうしてキノさんの世界に誘い込まれてしまいます。 それにしても、ピーナッツに生命を吹き込むなんて独特ですね。 また、 アンティックのフレームも見る人の心を和ませるのに効果を上げて います。 ずっと見ていると物語が生まれて来るようです。キノマホさんの展覧会は11月7日までありますので、まだ間に合います。ぜひお出かけ下さい。
Corridor Gallery334 Grand Ave Brooklyn, NY 1123812-6pmギャラリーは日曜日しか開いていないようですが、私は土曜日に行きました。行く前に電話することをお薦めします。
展覧会のお知らせ
神舘美会子グループ展“ Holiday Show”November 18 – December 13Opening Reception : Wednesday, November 18, 6 – 8pmGallery Onetwentyeight128 Rivington Street, New York, NY 10002(212) 674-0244Gallery Hours : Wed – Sat 1 – 7pm / Sun 1 – 5pmTransportation : F, Delancy Street / M, J, Z, Essex Street. Walk One Block North.ギャラリーOnetwentyeightのご紹介ギャラリー128は、1986年にオープンした、ローアイーストサイドで最も長く続いている画廊です。 オーナーでディレクターの宮本和子さんは彼女自身もアーティストで、 1964年に渡米した時からずっとローアイーストサイドに住み、 当時は低所得者の移民の地域だったこの町をこよなく愛して、 ローアイーストサイドの下町的スピリットを保ちながら、 新しいアートを模索し続けるコンテンポラリーの画廊です。
筆:神舘美会子 企画、編集:小柳津美香
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